ロボスタカンファレンス2026に登壇|中国フィジカルAIの最新動向と日本企業の事業機会

株式会社ロボットワークス代表取締役の吉川真人は、2026年6月10日に開催された「ロボスタカンファレンス2026」に登壇し、中国のフィジカルAI・ヒューマノイドロボット産業の最新動向について講演しました。

講演では、AgiBotとUnitree Roboticsをはじめとする中国ロボット企業の動向、都市別の産業構造、日本企業がどの領域で事業機会を見出せるかを解説しました。

株式会社ロボットワークスでは、中国ロボット企業・フィジカルAI企業・AIハードウェア企業に関するリサーチ、現地視察、企業訪問、導入前調査、日本企業と中国企業の提携支援を行っています。中国現地で得た一次情報と企業ネットワークを、日本企業の新規事業、PoC、ロボット導入、事業提携の判断材料へつなげることを目的として活動しています。

この記事でわかること

  • ロボスタカンファレンス2026で講演した主な内容
  • AgiBotとUnitree Roboticsの事業戦略の違い
  • 中国フィジカルAI産業が「製品開発」から「産業基盤構築」へ移っている理由
  • 日本企業が中国ロボット企業と関わる際に見るべきポイント
  • 株式会社ロボットワークスが支援できる調査、視察、提携、PoC設計の領域
目次

ロボスタカンファレンス2026で中国フィジカルAIの最新動向を解説

今回の登壇は、YOSHIKAWA INTERNATIONAL TRADING CONSULTING LIMITED名義での参加となりましたが、講演内では、日本企業との取引拡大やロボット事業の本格展開を見据えて株式会社ロボットワークスを設立したことも紹介しました。

当社は、中国現地で得た一次情報、企業ネットワーク、政策・市場への理解を、日本企業の新規事業、現地視察、企業提携、PoC、ロボット導入へつなげることを目的として活動しています。

講演で扱った中心テーマは、中国のフィジカルAI産業がどのように発展しているのか、そして日本企業がその変化をどのように事業機会として捉えるべきかという点です。

ヒューマノイドロボットの話題は、機体の外観やデモ動画に注目が集まりがちです。しかし、事業判断において重要なのは、どの企業がどの用途を狙い、どの技術基盤を持ち、どの現場で検証を進めているのかを見極めることです。

中国では、ロボット本体だけでなく、AIモデル、VLA、世界モデル、ロボットハンド、関節部品、センサー、データ収集、シミュレーション、システムインテグレーションなど、フィジカルAIを構成する幅広い領域に資本と人材が集まりつつあります。講演では、こうした産業構造を整理し、日本企業がどの領域で協業・調達・導入・検証の可能性を持てるかを解説しました。

Unitree Roboticsとともに参加し、AgiBotとUnitreeの最新動向を紹介

今回のカンファレンスには、中国を代表するロボット企業の一社であるUnitree Roboticsにも参加いただきました。登壇に先立ち、吉川はAgiBot本社およびUnitree本社を訪問し、企業担当者へのインタビューや施設見学を実施しています。講演では、現地で直接得た情報をもとに、両社の特徴や事業戦略、中国フィジカルAI産業における位置づけを紹介しました。

AgiBotは、単にヒューマノイドロボットを製造するだけではなく、ロボット本体、AIモデル、データ、開発基盤を一体で構築しようとしている企業です。全身ヒューマノイド、小型・親和型、作業・工業向けなど、用途の異なる複数の製品群を展開しながら、展示、教育、研究、搬送、検査、商業施設などの具体的な現場へ入り、実績とデータを蓄積する戦略を進めています。

一方、Unitree Roboticsは、四足歩行ロボットからヒューマノイドロボットへと事業領域を拡大し、運動制御、量産、価格競争力、開発者への普及で高い存在感を持っています。研究機関、大学、企業、開発者が実際に触れ、研究やPoCに活用しやすい環境を作っていることも同社の特徴です。

AgiBotがAI、データ、産業基盤の構築を重視する企業だとすれば、Unitreeは量産、運動制御、普及力に強みを持つ企業です。同じ中国のヒューマノイドロボット企業であっても、目指す市場や強みは異なります。講演では、企業名や製品名だけを見るのではなく、それぞれが産業のどの領域で価値を生み出そうとしているのかを整理しました。

中国は「ロボットを売る段階」から「産業を作る段階」へ

今回の講演で最も強くお伝えしたのは、中国のフィジカルAI産業が、すでに単なる製品開発競争を超えつつあるという点です。現在の中国では、完成機メーカーだけでなく、AIモデル、VLA、ロボットハンド、関節部品、センサー、データ収集、シミュレーション、システムインテグレーションなど、フィジカルAIを構成する幅広い領域に資本が流れています。

さらに、政府による政策支援、政府系ファンド、産業基金、大学・研究機関との連携、工場や物流施設を使った実証環境の整備も同時に進んでいます。つまり、中国で起きているのは、優れたロボットを一台作る競争だけではありません。ロボットが開発され、学習し、量産され、現場へ導入されるまでの産業基盤を作る競争です。

講演では、中国の主要都市ごとの特徴についても整理しました。北京はAI研究、人材、データ、実証、標準化に強みを持ち、清華大学、北京大学、中国科学院などの大学・研究機関が集まっています。上海は商用化、算力、導入支援に強く、AgiBotのような企業が研究開発から企業導入へ進みやすい環境を整えています。

深圳はロボット本体、部品、試作、量産、サプライチェーンに強みを持ち、多数の部品を統合するロボット産業において重要な役割を担っています。杭州はUnitreeが本社を置く都市であり、市内の各エリアが研究、訓練、中試、製造、応用を分担しながらロボット産業を育てています。武漢は、完成機メーカー、部品企業、大学、研究機関、実証現場をまとめて支援する産業連合型の政策に特徴があります。

中国企業を調査する際には、企業単体だけでなく、その企業がどの都市の産業環境に属しているかを見ることも重要です。企業の技術力だけでなく、周辺の部品供給、試作・量産体制、実証現場、大学・研究機関、政府支援の有無まで含めて確認することで、提携や導入の実現可能性をより具体的に判断できます。

日本企業にとって重要なのは「どこで組むか」

日本企業が中国のフィジカルAI企業と関わる際、必ずしも完成機メーカーとして価格や開発スピードで正面から競争する必要はありません。日本企業には、精密部品、素材、センサー、品質管理、耐久性、安全設計、現場改善、保守運用、顧客との長期的な信頼関係といった強みがあります。

部品供給、共同開発、OEM、販売代理、システムインテグレーション、保守、PoC設計、現場データの取得など、関与できる領域は数多くあります。特に今後重要になるのが、ロボットを現場で使うためのデータです。日本の工場、物流倉庫、商業施設、介護施設、病院、ホテル、インフラ現場には、長年蓄積された業務知識や現場の暗黙知があります。これらは、フィジカルAIの時代において価値の高いデータ資産になる可能性があります。

一方で、提携や導入を検討する際には、デモ動画や発表資料だけで判断することはできません。何台作ったのかだけではなく、どの現場で、どの業務に、どの程度の時間使われているのかを確認する必要があります。故障率、保守体制、部品供給、安全性、システム連携、データの取り扱い、責任範囲まで確認して、初めて導入や提携の判断材料になります。

日本企業にとって大切なのは、中国企業に勝てるかどうかだけを考えることではなく、自社の強みをどの領域で生かし、どの企業と組むべきかを整理することです。当社では、中国企業の実態調査、現地訪問、技術・事業面の整理、PoCテーマの設計を通じて、日本企業が現実的な判断を行えるよう支援しています。

登壇後に多くのご相談をいただきました

講演終了後には、多くの企業、研究機関、シンクタンク関係者の方々からお声がけいただき、懇親会でも、中国のロボット企業、現地視察、事業提携、PoC、新規事業について、さまざまなご相談をいただきました。特に多かったのが、「中国のフィジカルAIについて知りたいが、必要な情報を集めることが難しい」という声です。

中国語の情報自体は数多く存在しますが、企業発表、政策文書、投資ニュース、SNS動画、展示会情報、業界関係者の発言が分散しており、日本企業が事業判断に使える形へ整理することは容易ではありません。

また、「量産開始」「商用化」「受注」といった表現も、その実態を確認する必要があります。受注、生産、出荷、納品、現場稼働、有償利用、再購入はそれぞれ別の段階であり、同じ言葉でも企業や媒体によって意味が異なる場合があります。

今回のカンファレンスを通じて、中国現地の一次情報を求める企業が非常に多いことを改めて実感しました。初開催となったロボスタカンファレンスは、会場の熱気、参加者同士の交流、登壇後の反響のいずれを見ても、大変有意義な機会となりました。ご参加いただいた皆様、運営関係者の皆様、Unitree Roboticsの皆様に、改めて御礼申し上げます。

中国フィジカルAIに関するご相談を受け付けています

株式会社ロボットワークスでは、中国フィジカルAI・ヒューマノイドロボット領域において、中国ロボット企業および市場のリサーチ、中国現地視察・企業訪問の企画とアテンド、AgiBotやUnitreeをはじめとする主要企業の動向調査、日本企業と中国ロボット企業の提携支援、ロボット導入に向けたPoCテーマの設計、中国企業との商談設定・交渉支援、OEM・部品調達・サプライチェーン調査、社内勉強会、経営層向け講演、個別レポート作成、新規事業開発支援などを行っています。

「中国ロボット企業の実態を把握したい」「自社の技術や顧客基盤をどの領域で生かせるか整理したい」「現地企業を訪問したい」「提携候補やPoCテーマを探したい」といった課題をお持ちの企業様は、ぜひ当社までご相談ください。

今回の登壇で使用した、中国フィジカルAI市場、政策、主要企業、都市別の産業構造、日本企業の関わり方をまとめたプレゼンテーション資料についても、企業・団体の皆様へ個別にご案内しています。資料の閲覧、社内説明、勉強会、事業検討への活用をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

株式会社ロボットワークスは、中国現地で得た一次情報と企業ネットワークを、日本企業の具体的な事業機会へつなげてまいります。

この記事のテーマ、貴社のケースで検討しませんか?

株式会社ロボットワークス(深セン在住・代表 吉川真人)は、中国ロボット・フィジカルAI領域の調査、視察、導入検討、OEMを支援しています。具体的な企業名や製品が決まっていない、検討初期段階のご相談も歓迎です。

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この記事を書いた人

Makoto Yoshikawaのアバター Makoto Yoshikawa 代表取締役

株式会社ロボットワークス 代表取締役。中国・深圳と日本を拠点に、中国ロボット企業の日本市場展開支援、中国フィジカルAI・ロボティクス市場の現地リサーチ、企業訪問・視察企画、ビジネスマッチング、ロボティクス関連製品の販売支援を行う。ヒューマノイドロボット、サービスロボット、AIハードウェア、ロボット部品などの現地動向を継続的に調査し、日本企業向けに実務的な情報発信と事業開発支援を提供している。

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