建設・住宅業界の人手不足を深センで検証|中国ロボット・AI視察を事業につなげる

建設・住宅業界の人手不足を深センで検証|中国ロボット・AI視察を事業につなげる

2026年9月、株式会社ロボットワークスは、環境配慮型・脱炭素住宅を手がける国内ハウスメーカーの経営層を、中国・深センで1日ご案内しました。目的は「中国の最新ロボットをたくさん見ること」ではありません。日本の住宅・建設業界が直面する人手不足と現場負担を起点に、中国で実用化が進むロボット・ドローン・AIハードウェアの中から、自社の事業や建設現場に置き換えられるものを探すことでした。

視察前に事業内容と今後の方向性、関心分野をヒアリングし、それに合わせて現地で確認するテーマとルートを設計しています。現場を回りながら「面白い技術だった」で終わらせず、「日本の現場ならどこに使えるか」「導入する場合の障壁は何か」「中国から調達できるのか」まで議論するのが、この視察の設計思想です。

※参加企業との関係に配慮し、本記事では企業名・個人名・詳細な訪問ルートは非公開としています。
本記事は2026年9月28日時点の情報に基づきます。

目次

視察の出発点は「どこへ行くか」ではなく「何を解決したいか」

深センには、人型ロボット、自動運転、ドローン、AIハードウェア、スマートホーム、電子部品、製造業のサプライチェーンなど、1日では回りきれないほどの企業と実装現場があります。ただし、有名企業を順番に回ることが有意義な視察になるわけではありません。

株式会社ロボットワークスが最初に設計するのは訪問先ではなく、参加企業が今後どのような事業を目指しているか、現在どのような課題を抱えているかです。今回、議論の中心になったのは住宅・建設現場の人手不足でした。

国土交通省と厚生労働省が2026年9月に公表した資料によると、建設業の技能者は60歳以上が約4分の1を占める一方、29歳以下は約12%にとどまっています。採用を増やすことに加えて、「これまで人が行ってきた仕事そのものをどう減らすか」という視点が、今後さらに重要になります。今回の視察も、この問題意識を軸に技術と製品を確認していきました。

「ロボットを見る」のではなく、日本の現場に置き換えて考える

深センでは、自動運転、ドローン、ロボティクス、AIハードウェア、スマートデバイス、電子部品・製造サプライチェーンと、複数の領域を横断して現地を確認しました。重要なのは展示されている製品そのものを見ることではなく、見た瞬間に自社の現場へ置き換えることです。

ロボットを見たときは「この会社はすごい」で終わらせず、「住宅建設のどの工程を代替できるのか」に変換します。ドローンを見たときも「飛行性能が高い」という評価だけでなく、「建設現場を定期巡回させれば、人が行っている記録業務を減らせないか」と考えます。参加者と現地でこうした議論を重ねることで、技術視察から自社の事業課題に対するソリューション探索へと視点を切り替えていきました。

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建設現場で議論になった2つの論点|身体負担と現場記録

今回の視察で具体的な検討テーマになったのが、次の2つです。

技術領域現地で確認した内容建設現場での想定用途導入検討時の論点
パワースーツ装着型のアシストスーツ資材運搬・中腰作業の身体負担軽減対応工程の切り出し方、費用対効果
ドローン+360度カメラ定期巡回による撮影現場進捗の自動記録・共有飛行ルート設計、置き換える業務範囲の見極め
出典:現地視察での確認内容(2026年9月時点)

住宅建設では、資材の運搬や中腰姿勢での作業など、身体への負荷が大きい工程が少なくありません。すべてを人型ロボットに置き換えることは現時点では現実的ではありませんが、「人を完全に置き換える」のではなく「人が今の仕事を続けながら負荷を軽減する」という発想であれば、比較的早い段階で導入可能性を検討できます。

もう一つが、建設現場の定期記録です。週に一度ドローンが同じルートを飛び、360度カメラで現場の状態を記録できれば、担当者が毎回撮影する負担を減らしながら、工事の進捗を継続的にデータとして残せる可能性があります。現在は現場の担当者が撮影を担っているケースもありますが、忙しい現場では撮影自体が負担になったり、記録が抜けたりすることがあります。重要なのは「ドローンを導入すること」自体ではなく、「現在人が行っている業務のどこを自動化すると費用対効果が合うのか」という設計です。

このほか、塗装工程を自動化するロボットや、住宅設備・スマートホームとの連携についても、現地で製品を見ながら議論しました。

現地で実物を見ると、「使えるかもしれない」が具体的になる

中国のロボットやAIハードウェアに関する情報は、日本からでもインターネットで大量に入手できます。しかし、写真や動画で見ることと実物を見ることには大きな差があります。サイズ、重量、操作性、動作速度、騒音、製品としての完成度、操作方法などは、現場で確認して初めて分かることが少なくありません。その場で自社の現場に置き換えて考えることで、それまで検討対象になっていなかった製品が「これは使える可能性がある」と具体的な候補になることもあります。

今回の視察でも、当初から中国製品を仕入れることが決まっていたわけではありません。むしろ現地で複数の製品や社会実装を確認しながら、「日本の建設現場ならここに使えるのではないか」「この製品なら日本向けに展開できるのではないか」という仮説を、その場でつくっていくことが重要でした。深セン視察の価値は、完成した答えを見に行くことだけではなく、社内でまだ言語化されていない課題や事業機会を、実物を見ながら具体化することにもあります。

視察が終わってからが、事業検討のスタート

株式会社ロボットワークスでは、現地を案内して視察が終わればそこで完了、という形にはしていません。現地で「使えるかもしれない」という製品やテーマが見つかった場合、その後、該当する中国メーカーやOEM・ODM工場を調査し、製品仕様、価格、供給能力、日本への輸出、認証、保守、カスタマイズの可否を確認します。必要に応じてメーカーとの商談を設定し、サンプル調達、日本でのPoC、仕様変更、OEM・ODM、日本での販売や事業化まで検討を進めます。

流れにすると、次のようになります。

  1. 課題を整理する
  2. 中国で現物を見る
  3. 候補を絞る
  4. メーカーを調査する
  5. 条件を確認する
  6. 日本で試す
  7. 導入・事業化を検討する

株式会社ロボットワークスは、中国フィジカルAI・ロボット領域に特化し、日本企業向けに市場調査・企業視察・企業ヒアリング・導入検討を支援しています。中国の面白い場所を紹介するだけでなく、中国で生まれている技術や製品を日本企業の課題や事業にどう接続できるかを考え、その後の実行まで伴走することを重視しています。

日本企業にとって、中国は「視察先」だけではなく「ソリューション探索先」になる

日本の建設業が抱える人手不足は、短期的に解決する問題ではありません。国土交通白書でも、建設業では就業者の高齢化と若年層の少なさが続いており、省人化・省力化につながる新技術の活用が重要な課題として挙げられています。だからこそ、国内にすでに存在する製品だけを比較するのではなく、海外で生まれている新しいソリューションまで探索範囲を広げる意味があります。

深センにはロボット企業だけでなく、ドローン、センサー、AIハードウェア、電子部品、製造工場が集積しています。完成品を探すだけでなく、自社の課題に合う製品を探す、日本向けに仕様を変更する、新しい製品を共同開発するという選択肢もあります。もちろん、中国製品がそのまま日本で使えるわけではありません。品質、法規制、認証、安全性、保守、責任範囲、商流など、導入前に確認すべき条件があります。現地視察はゴールではなく、事業検討の入口として設計することが重要です。

よくある質問

深セン視察は、訪問したい中国企業が決まっていなくても依頼できますか。

依頼できます。まず自社が何を解決したいのか、5年後・10年後にどのような事業を作りたいのかを伺い、その内容から調査テーマ・訪問先・現地で確認すべきポイントを設計します。「中国に何があるのか分からない」という段階からご相談いただけます。

深センで見つけた中国製品は、そのまま日本の建設現場に導入できますか。

そのままでは導入できないケースがほとんどです。品質、法規制、認証、安全性、保守体制、商流など、日本国内で導入する前に確認すべき条件が複数あります。視察後にメーカー調査・条件確認・PoCという段階を踏むのはそのためです。

建設・住宅業界の人手不足解決に、中国のロボット・AIハードウェア活用をご検討の方へ

株式会社ロボットワークスは、中国・深センを中心に、ロボティクス、フィジカルAI、AIハードウェア、自動運転、ドローン、スマートファクトリーなどを対象とした法人向けの現地視察・調査を行っています。訪問したい企業が決まっていなくても構いません。まず「自社が何を解決したいのか」を伺い、調査テーマ・訪問先・現地で確認すべきポイントを設計します。視察後に有望な製品や企業が見つかった場合は、中国メーカーの追加調査、商談、製品調達、PoC、OEM・ODM、日本市場での事業化まで継続して支援します。


参考情報

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この記事を書いた人

Makoto Yoshikawaのアバター Makoto Yoshikawa 代表取締役

株式会社ロボットワークス 代表取締役。中国・深圳と日本を拠点に、中国ロボット企業の日本市場展開支援、中国フィジカルAI・ロボティクス市場の現地リサーチ、企業訪問・視察企画、ビジネスマッチング、ロボティクス関連製品の販売支援を行う。ヒューマノイドロボット、サービスロボット、AIハードウェア、ロボット部品などの現地動向を継続的に調査し、日本企業向けに実務的な情報発信と事業開発支援を提供している。

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