OEM・ODM・OBM・JDM・CMTの違いとは?中国で製品を作る前に知っておきたい基本

OEM・ODM・OBM・JDM・CMTの違いとは?中国で製品を作る前に知っておきたい基本

中国で製品開発や製造を検討すると、「OEM」「ODM」という言葉を必ずと言っていいほど目にします。さらにメーカーとの商談を進めていくと、OBM、JDM、EMS、CMTといった言葉も登場します。

これらの違いを簡単に整理すると、ポイントは「誰が製品を考えるのか」「誰が設計するのか」「誰が製造するのか」「誰のブランドで販売するのか」です。

ただ、中国・深センや東莞で実際にメーカーと話をしていると、OEMとODMを教科書通りにきれいに分類できる案件ばかりではありません。同じ「OEM対応可能」という会社でも、ロゴ変更だけを指している場合もあれば、筐体、基板、ファームウェア、アプリまで変更できる会社もあります。

私は2019年から中国・深センに住み、中国企業への訪問、工場・製品の確認、担当者とのヒアリング、日本企業向けのOEM・ODM調達支援を行ってきました。

その経験から感じるのは、「これはOEMなのかODMなのか」を議論すること以上に、「誰が何を担当し、どこまで変更でき、最終的に何が自社の資産として残るのか」を確認することの方が重要だということです。

情報基準日:2026年9月24日

目次

OEM・ODM・OBMなどの違いを一度整理する

大まかには次のように整理できます。

方式設計・開発製造ブランド・販売特徴
OEM主に発注側メーカー発注側自社仕様の商品を製造委託
ODM主にメーカーメーカー発注側メーカーの既存設計を利用
JDM発注側+メーカー主にメーカー発注側両社で共同開発
OBM自社自社または外部委託自社自社ブランドを展開
CMT主に発注側加工会社発注側材料支給による加工
EMS主に発注側EMS企業発注側電子機器の製造工程を幅広く受託

ただし、ここで一つ重要な注意点があります。

中国の製造現場では、この分類の間に大量の「中間形態」が存在します。

当社が作成した『中国OEM・ODM実践ガイド2026』でも、OEM、ODM、EMSは実務上混同されることがあり、「OEMできますか」「ODMできますか」と聞くだけでは十分ではないと整理しています。重要なのは、筐体、基板、部品調達、ファームウェア、アプリ、認証、量産など、それぞれの工程を誰が担当するのかを確認することです。

OEMとは?発注側の商品を中国メーカーが製造する

OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略です。

製造委託の文脈では、一般的に発注側が商品仕様や設計を持ち、メーカー側がそれに従って製造する形を指します。

たとえば日本企業が、
「この形の商品を作りたい」
「この部品を使いたい」
「この機能が必要」
「この品質基準を満たしてほしい」
という仕様を提示し、中国メーカーが生産を担当します。完成品は日本企業のブランドで販売されます。

ただし、中国OEMの実務では、メーカーが単純に図面通り製造するだけとは限りません。

実際にはメーカー側から、
「この構造では量産しにくい」
「こちらの部品に変えた方が安定する」
「この形状なら金型費を抑えられる」
「既存基板を使えば開発期間を短縮できる」
といった提案が出てくることもあります。

そのため、OEMであっても発注側とメーカーが一緒に製造方法を詰めていくことは珍しくありません。

中国での製品開発・試作・量産や、調達先の選定について、個別にご相談いただけます。

OEM・ODMの工場探し、見積の比較、試作から量産への移行など、現在の段階に合わせて整理します。

通常1〜2営業日以内にご返信します。依頼内容が固まっていない段階でも構いません。

まず資料で全体像をつかみたい方は 「中国OEM・ODM実践ガイド2026」を請求する →

中国では「白牌」「贴牌」という言葉もよく使われる

中国でOEM・ODM関連の企業と話していると、「白牌(báipái)」や「贴牌(tiēpái)」という表現もよく出てきます。

「白牌」は、簡単にいえば特定ブランドを前面に出していない汎用品・ノーブランド品を指すことが多い言葉です。

一方の「贴牌」は文字通り「ブランドを貼る」という意味で、既存の商品に別ブランドのロゴを付けて販売するような形を指します。

日本語ではどちらも「OEM」「OEM商品」などと一括りにされることがありますが、中国側ではニュアンスが少し違います。

例えば、メーカーがすでに完成品を持っており、

  • 商品本体はそのまま
  • ロゴだけ変更
  • パッケージだけ変更
  • 取扱説明書を日本語化

という案件であれば、かなり「贴牌」に近い形です。

これに対して筐体、基板、ファームウェアまで変更すると、一般的に想像されるOEM・ODM開発に近づいていきます。

淘宝を見ると「同じ商品なのにロゴだけ違う」のはなぜか

中国の淘宝(Taobao)や1688などを長く見ていると、かなり面白い現象があります。見た目がほぼ完全に同じなのに、ブランドロゴだけが違う商品が大量に存在します。

初めて見ると、
「コピー商品なのではないか」
「どこかから金型が流出しているのではないか」
と思うかもしれません。

もちろん、知的財産や金型管理に問題があるケースを完全に否定することはできません。しかし、同じ形の商品が存在する理由はそれだけではありません。

中国の製造現場では、

  • 同じODMメーカーの商品を複数ブランドが採用している
  • 同じ完成品メーカーから仕入れている
  • 同じ公模を利用している
  • 同じ筐体サプライヤーから調達している
  • 内部基板だけを変えて販売している

といったケースもあります。

ここで知っておきたい中国語が「公模(gōngmó)」と「私模(sīmó)」です。

「公模」は複数企業が利用できる共通金型に近い考え方です。同じ筐体を複数ブランドが使うため、外観がほぼ同じ商品が市場に大量に出てくることがあります。

反対に「私模」は、特定企業向けに作られた専用金型というニュアンスで使われます。

ただし、「私模だから安全」「自分がお金を払ったから自由に持ち出せる」と考えるのも危険です。

専用金型でも、誰が所有するのか、どこで保管するのか、他社製品へ使用できない契約になっているか、メーカー変更時に持ち出せるか、といった条件は別途確認する必要があります。当社の実践ガイドでも、金型については所有権だけではなく、保管場所、保管期間、メンテナンス、移管条件まで確認すべきとしています。

淘宝で同じ商品を見つけたというだけで「金型が流出した」と結論づけることはできません。しかし逆に、自分たちが独自商品だと思っていたものが、実は公模を使った一般的な商品だったということもあります。これはOEMを始める際に非常に重要な確認ポイントです。

ODMとは?「ゼロから作らない」という合理的な選択

ODMは「Original Design Manufacturer」の略です。

メーカーが持つ既存設計、基板、筐体、ソフトウェア、量産ノウハウなどを利用し、自社ブランドの商品として販売する方式です。

たとえば中国メーカーがすでに量産しているスマートデバイスに対して、

  • ロゴを変更する
  • 色を変更する
  • パッケージを変更する
  • 日本語UIを追加する
  • 一部機能を変更する

といった形で商品化します。

ODMというと、「既製品にロゴを貼るだけなので価値が低い」と考える人もいます。私はそうは考えていません。

商品ビジネスの価値は、必ずしも「自社工場を所有しているか」「基板をゼロから設計したか」だけで決まるものではありません。

むしろ、自社が最も得意な領域へ経営資源を集中する方が合理的な場合があります。

オリジナル商品を作るために、自社工場を持つ必要はない

例えば、マーケティングが非常に得意な会社を考えてみます。あるいはインフルエンサーや強いコミュニティを抱え、「どのような商品なら誰が欲しがるのか」をよく理解している企業です。

こうした会社にとって重要なのは、

「工場をどう作るか」

ではなく、

「誰に届けたい商品なのか」
「その人は何に困っているのか」
「どの機能ならお金を払ってくれるのか」
「どの言葉で商品価値を伝えるのか」
「どこで商品を見てもらうのか」

を考えることです。製造設備を持つことが自社の競争力につながらないのであれば、無理に工場を持つ必要はありません。

商品コンセプトと顧客理解、マーケティング、販売チャネルは自社で持ち、製造は専門家へ任せる。私はこれも十分に「ものづくり」だと考えています。

実際、RobotWorksが中国OEM支援をするときも、日本企業がすべての技術や設備を持つことを前提にはしていません。大切なのは、自社が何を握るべきで、何を中国側へ任せるべきなのかを分けることです。

『中国OEM・ODM実践ガイド2026』でも、顧客課題、商品コンセプト、重要仕様、品質方針、最終的なGo/No-Go判断は発注側が持ち、メーカー探索、工場確認、中国語での技術確認、試作フォローなどは現地支援を活用する考え方を整理しています。

JDMとは?日本企業と中国メーカーで一緒に商品を作る

JDMは「Joint Design Manufacturing」などと呼ばれる方式です。

発注側と製造側が共同で製品を設計・開発します。

中国OEM案件では、実はこの形に近いプロジェクトも少なくありません。

例えば日本企業が、
「誰に売るのか」
「どういう商品体験を作りたいのか」
「絶対に必要な機能は何か」
を決め、中国メーカー側が、
「どのSoCを使うのか」
「どういう基板構成にするのか」
「どんな金型構造にするのか」
「量産可能な構造へどう落とすのか」
を担当する形です。

特にAIハードウェアやスマートデバイスでは、全てを日本側で設計するより、中国側の既存サプライチェーンや設計資産を利用した方が速い場合があります。

OBMとは?OEM工場自身がブランドを作り始めている

OBMは「Original Brand Manufacturer」の略で、自社ブランドを持ち、自ら商品を市場へ展開する形を指します。

近年、中国のOEM・ODM企業を見ていると、非常に興味深い変化があります。

これまで他社の商品を作ってきたメーカー自身が、自社ブランドを作り始めるケースです。

製造企業の立場から考えると、これはかなり合理的です。

OEM工場は長年、多くの顧客から注文を受けています。

当然ながら、顧客の具体的な販売数量まで把握しているとは限りませんが、少なくとも、
「どのタイプの商品に継続発注が入るのか」
「どの仕様の商品が何度もリピートされるのか」
「どの国向けの注文が増えているのか」
といった情報は、受注を通じてある程度見えます。

さらに工場自身には、

  • 製品設計
  • 部材調達
  • 原価管理
  • 金型
  • 製造
  • 品質管理
  • サプライチェーン

といった能力があります。

そうなると、

「いつまでも他社ブランドの商品だけを作るのではなく、自分たちのブランドを作ろう」

と考えるのは自然です。

OEM・ODMは基本的に受注産業なので、顧客が発注をやめれば売上も減ります。

一方、自社ブランドが育てば、ブランド、顧客、販売チャネルといった資産が会社側に残ります。

そのためOEM→ODM→OBMという方向へ進む中国企業が出てくるわけです。

ただし「工場だから自社ブランドも強い」とは限らない

ここも非常に重要です。

製造に強いことと、消費者向けブランドを作れることは別の能力です。

工場は、
「どう作ればいいか」
を非常によく知っています。

しかし、
「誰に売ればいいか」
「どんなブランドにするか」
「広告費をどの程度かけるべきか」
「消費者がどこで離脱するのか」
「ブランドコミュニティをどう作るのか」
は、また別の専門領域です。

だからこそ、日本企業側にもチャンスがあります。

中国企業の製造力と、日本企業が持つ市場理解、ブランド、販売網、顧客との接点を組み合わせればいいのです。

中国メーカーと競争するか、単純に仕入れるか、という二択ではありません。

お互いが得意な領域を持ち寄って商品を作ることもできる。

これが、現在の中国OEM・ODMを考える上で非常に重要だと思っています。

OEMかODMかより「どこを自社の競争力にするか」

ここまで見てきたように、OEM、ODM、JDM、OBMは完全に独立したものではありません。

実際のプロジェクトでは連続しています。

既製品そのまま
↓
ロゴ・パッケージ変更
↓
筐体変更
↓
主要部材変更
↓
ファームウェア・アプリ変更
↓
独自基板
↓
完全新規開発

右へ進むほど独自性は高くなります。

一方で、

  • 開発費
  • 開発期間
  • MOQ
  • 品質管理項目
  • 認証
  • 知的財産管理
  • プロジェクトリスク

も増えていきます。

実践ガイドでも、既存設計を活用すれば開発期間や初期費用を抑えやすい一方で、主要部品やファームウェア、将来のサプライヤー変更などに制約が生じる可能性を整理しています。

大切なのは「完全オリジナルだから良い」「ODMだから悪い」と考えないことです。

事業の初期段階なら、まずODMで商品を出し、市場の反応を見る方が合理的な場合があります。

売れることが分かってから独自筐体へ変更し、さらに数量が増えれば独自基板へ移行する。

その方が、新規事業としてリスクをコントロールしやすいケースもあります。

中国OEMでは「工場探し」より「商品開発全体」を見る

中国OEMについて相談を受けると、

「この製品を作れる工場を探してほしい」

という依頼から始まることがよくあります。

もちろん工場探しは重要です。

ただ、実際には工場を見つけてからの方が長い。

製品企画、要件整理、候補メーカー比較、見積、サンプル、設計・試作、認証、量産試作、品質確認、量産、物流、日本への輸入、さらに販売後の修理・保証までが一つのプロジェクトです。

中国、とりわけ深セン・東莞を使うメリットは、単純に人件費が安いという話ではありません。

電子部品、PCB・PCBA、金型、射出成形、CNC、バッテリー、ディスプレイ、カメラ、モーター、包装、組立などの専門企業が近距離に集積し、それらを組み合わせながら短期間で試作と改善を繰り返せることにあります。

私自身、深センにいるからこそ、一つの完成品メーカーだけを見るのではなく、その裏側でどの会社が基板を作り、どこが筐体を作り、どこがソフトウェアを担当しているのかを見るようにしています。

「一社で全部できる工場」を探すことが正解とは限りません。

むしろ、複数の得意な企業を組み合わせた方が良い商品になるケースもあります。

まとめ:中国OEMで考えるべきなのは「誰が何を持つか」

OEM、ODM、OBM、JDM、CMT、EMSには、それぞれ基本的な定義があります。

しかし、中国で実際に製品を作る場合、その名称だけを覚えても十分ではありません。

特に確認したいのは、

「商品コンセプトを誰が持つのか」
「設計を誰が持つのか」
「金型を誰が持つのか」
「図面やBOMを誰が持つのか」
「ソースコードを誰が持つのか」
「ブランドと顧客を誰が持つのか」

という点です。

すべてを自社で抱える必要はありません。

むしろ、自社が本当に強い領域を見極め、中国メーカーが得意な領域は中国側の力を借りる。

その役割分担を設計することが、中国OEM・ODMを活用する本質だと私は考えています。


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メーカー探索だけでなく、見積・MOQ、試作、量産、品質管理、日本向け認証、物流・輸入、AIハードウェアまで、中国OEMを進める際に確認したいポイントをまとめています。本ガイドも、「工場を見つけること」ではなく、仕様、価格、品質、納期、知的財産、認証、物流、量産後の保守まで一つのプロジェクトとして管理する考え方を軸にしています。

「中国で商品を作りたいが、何から始めればよいか分からない」
「Alibabaや1688で候補は見つけたが、本当にこの会社へ発注してよいか分からない」
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この記事を書いた人

Makoto Yoshikawaのアバター Makoto Yoshikawa 代表取締役

株式会社ロボットワークス 代表取締役。中国・深圳と日本を拠点に、中国ロボット企業の日本市場展開支援、中国フィジカルAI・ロボティクス市場の現地リサーチ、企業訪問・視察企画、ビジネスマッチング、ロボティクス関連製品の販売支援を行う。ヒューマノイドロボット、サービスロボット、AIハードウェア、ロボット部品などの現地動向を継続的に調査し、日本企業向けに実務的な情報発信と事業開発支援を提供している。

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