株式会社ロボットワークス代表の吉川真人は、中国ブランドの日本市場進出をテーマにしたイベント「扶桑破局」に登壇し、日本市場におけるオフライン体験と信頼構築の重要性について講演しました。
情報の基準日:2026年6月28日(公開日)時点。その後の価格・制度・各社の発表内容の変更は反映されていない場合があります。最新情報は各社・公的機関の公式情報をご確認ください。
本イベントには、日本市場への参入を検討する中国のブランド企業、スマートハードウェア企業、マーケティング関係者、チャネル開拓担当者などが参加しました。当日の会場では中国企業関係者の参加が多く、吉川も全編中国語で講演を行いました。
この記事でわかること
- 中国企業にとって日本市場が魅力的でありながら難しい理由
- スマートハードウェアやAIハードウェアでオフライン体験が重要になる背景
- クラウドファンディング、EC、実店舗、メディア、SEO/GEOをどう組み合わせるべきか
- 日本市場で海外ブランドが信頼を積み上げるために必要な視点
- 株式会社ロボットワークスが支援できる日本市場進出、チャネル開拓、事業開発の領域
中国ブランドにとって日本市場は「近いが簡単ではない」市場
中国企業にとって日本市場は、地理的に近く、消費者の購買力も高く、ブランド価値を高めやすい市場です。特にスマートハードウェア、AI関連デバイス、ロボット、生活改善型のガジェットなどでは、中国企業が持つ商品開発スピード、サプライチェーン、製造コスト、改善速度が大きな強みになります。
一方で、日本市場は参入に時間がかかる市場でもあります。販売チャネル、消費者理解、メディア対応、法規制、保証、問い合わせ対応、アフターサービスなど、細かな信頼の積み上げが求められます。
今回のイベントでは、複数の登壇者がそれぞれの立場から、日本市場で事業を立ち上げるうえで必要な考え方や実務上の注意点を共有しました。共通していたのは、「日本で売る」ことを単なる販売活動ではなく、長期的な信頼構築として捉える必要があるという視点です。
マルチモニターの日本展開経験から伝えた、オフライン体験の重要性
吉川の講演では、過去に日本市場で展開に取り組んだマルチモニター製品の事例を紹介しました。
同製品は、複数のディスプレイを組み合わせて使用する新しいタイプのガジェットであり、スペックや商品画像だけでは利便性や使用感を十分に伝えにくい商品でした。オンライン上では、画面サイズ、解像度、接続方式、重量といった情報を伝えることはできます。しかし、実際にどれくらいの大きさなのか、机の上でどのように見えるのか、複数画面によって作業効率がどう変わるのかは、文字や写真だけでは伝わりきらない部分があります。
そのため当時は、EC上での商品紹介だけでなく、TSUTAYA家電で実機を展示し、日本の消費者に実際に商品を見て、触れて、使用イメージを持ってもらう機会を作りました。
この経験から、特にスマートハードウェア、ロボット、AIハードウェアのような新しいカテゴリーの商品では、オンライン広告やEC販売だけで完結させることが難しい場合があると説明しました。消費者はオンラインで商品を知り、検索し、レビューを比較します。しかし最終的に購入に踏み切るためには、「本当に自分の生活や仕事の中で使えるのか」という感覚的な納得が必要になります。
日本市場では、「オンラインかオフラインか」という二者択一ではなく、オンラインで認知を獲得し、検索やレビューで比較され、店頭や展示で体験され、納得したうえで購入につながる導線設計が重要になります。
この記事のテーマについて、貴社の状況に合わせて個別にご相談いただけます。
中国の現地調査・企業視察・製品調達・導入検討など、目的に合わせて必要な支援を組み立てます。
通常1〜2営業日以内にご返信します。依頼内容が固まっていない段階でも構いません。
日本市場進出で共有された実務知見
今回のイベントでは、吉川以外の登壇者からも、日本市場に関する多様な視点が共有されました。
市場分析や競合調査については、人口やGDPだけで日本市場を判断するのではなく、実際に参入できる市場規模、自社の商品が対応できる顧客層、競合ブランドの強さ、検索需要、消費者が購入前に確認する情報まで分解する必要があると説明されました。
クラウドファンディングやEC販売については、日本市場で新商品を投入する際の需要検証の場として活用する視点が共有されました。クラウドファンディングは単なる資金調達ではなく、商品コンセプト、価格、訴求内容、初期顧客の反応を確認するための実験装置として捉えることが重要です。
販売チャネルについては、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングといったECチャネルに加え、家電量販店、生活雑貨店、専門店、代理店との関係構築も論点になりました。Amazonは初期販売やレビュー獲得に向き、楽天は店舗運営やブランド表現の余地があり、実店舗は体験と信頼形成に強みがあります。重要なのは、どのチャネルを使うかだけではなく、それぞれのチャネルをどの段階で、どの目的で使うかです。
ブランド構築については、日本市場では価格やスペックだけでなく、使い続けられるか、サポートを受けられるか、信頼できる会社なのかが慎重に見られるという話がありました。特に海外ブランドの場合、日本語での情報発信、説明書、問い合わせ対応、保証、レビュー、メディア掲載など、複数の接点を通じて安心感を積み上げる必要があります。
検索、メディア、生成AI時代のブランド情報設計
メディアやPRに関する登壇では、日本では第三者からの評価が購買判断に大きく影響するという視点も共有されました。企業が自ら「良い商品です」と発信するだけでなく、専門媒体、レビュー記事、比較記事、動画、店頭での紹介など、複数の第三者接点を通じて消費者の信頼を得ることが求められます。
また、SEOやGEO、つまり検索エンジンや生成AI上でブランド情報をどのように届けるかについての講演もありました。消費者はGoogleやYahoo!だけでなく、生成AIを使って商品やブランドを比較する場面も増えています。今後は、公式サイト、FAQ、レビュー記事、動画、比較記事、サポート情報などを整備し、検索エンジンにもAIにも正しく参照される情報資産を作ることが重要になります。
中国ブランドの場合、日本の消費者にとってまだ知られていない企業も多くあります。だからこそ、公式情報、第三者評価、実店舗での体験、購入後サポートが分断されている状態ではなく、一貫したブランド情報として設計されていることが大切です。
共通して語られたキーワードは「信頼」
複数の登壇者の話を通じて、最も強く印象に残ったキーワードは「信頼」でした。
日本市場は、海外ブランドにとって決して簡単な市場ではありません。商品力があるだけでは十分ではなく、日本語での情報発信、販売チャネルとの関係構築、第三者メディアからの評価、保証やアフターサービス、価格管理、法規制への対応など、複数の要素を一つずつ積み重ねる必要があります。
一方で、一度信頼を獲得できれば、消費者や取引先との関係が長く続きやすいことも日本市場の大きな特徴です。イベントでは、日本市場の継続性について「中国市場では1年、アメリカ市場では2年、日本市場では5年続くこともある」という趣旨の表現もありました。もちろん業界や商品によって状況は異なりますが、日本市場が「参入は難しいが、信頼を得た後の価値が大きい市場」であることを改めて感じる機会となりました。
中国企業の強みと日本市場で必要なローカライズをどう接続するか
中国企業は、商品開発のスピード、サプライチェーン、製造コスト、改善速度において大きな強みを持っています。特に深圳を中心としたスマートハードウェア、ロボット、AIデバイスの領域では、試作から量産までのスピードが速く、新しい商品カテゴリーを生み出す力があります。
一方で、日本市場では、単に良い商品を持ち込むだけでは十分ではありません。日本の消費者に伝わる言葉で説明し、実際に体験できる場を作り、販売店や代理店が安心して扱える条件を整え、購入後のサポートまで含めて信頼を構築する必要があります。
日本進出において重要なのは、中国側の強みである開発力やサプライチェーンに、日本市場で必要とされるローカライズ、オフライン体験、チャネル設計、メディア活用、アフターサービスをどう組み合わせるかです。今回のイベントは、中国ブランドにとっての日本市場を、単なる販売先ではなく、長期的なブランド価値を築く市場として捉える重要性を再確認する機会となりました。
株式会社ロボットワークスの今後の取り組み
株式会社ロボットワークスでは、今後も中国のロボット、スマートハードウェア、AI関連企業と日本企業との橋渡しを行ってまいります。
当社は、中国・深圳を中心とした現地企業ネットワークと、日本市場における事業開発、情報発信、チャネル開拓の経験を活かし、単なる翻訳や企業紹介にとどまらない支援を目指しています。日本市場で商品を展開するためには、商品理解、用途整理、販売チャネルの設計、展示・体験機会の創出、メディア発信、アフターサービス体制などを総合的に整える必要があります。
ロボット、フィジカルAI、スマートハードウェア、AI関連デバイスの日本展開を検討している中国企業様、また中国企業との連携や現地視察、事業開発を検討している日本企業様は、ぜひ当社までご相談ください。
株式会社ロボットワークスは、中国現地で得た一次情報と企業ネットワークを、日本市場における具体的な事業機会へつなげてまいります。
